席を彩るお料理の主役達・食材ご紹介

魚　Vol.04


油坊主（あぶらぼうず）・成魚は水深100～400ｍの間の深海の岩礁地帯を棲家にしており、幼魚は流れ藻に付くことから浅場に生息するようである。体形は円筒形で、頭部は丸みを帯び、本州中部より以北の日本沿岸に生息しており、カムチャツカ半島からベーリング海を経てカリフォルニアにまで広く分布している。成魚は約2ｍにも達する大型も存在し、体は暗色で灰色の斑紋があるが、成長するにつれて不明瞭になる。ギンダラ科の魚ではあるが、漁獲量は非常に少なく市場に通常流通しない。また、食用としても一般的ではなく、その名の通り、筋肉中に約４０％ほどの脂肪分を含んでいる。脂肪分を好む日本人にとっては良い魚のようだが、脂肪成分はグリセリドを含んでおり、食べ過ぎると激しい食中毒症状を起こす。（勿論当店で少量食べても問題ありません。）基本は照焼きか煮付けが主流だが、あまりに脂がのり過ぎており、普通の味付けでは身まで味が入って行かない為、多少濃い味付けとなる。また、鮮度の良いものはお刺身でも美味だが、これも相当な脂分の為、量は食べられない。	目仁奈（めじな）・暖流影響水域の岩礁地帯を中心とした棲家としており、日本海側は青森あたりまで、太平洋側は千葉の銚子あたりまでが北限となり、南は沖縄周辺まで生息している。同種として「メジナ」・「クロメジナ」・「オキナメジナ」の３種類があり、体形や生息域・習性等に微妙な違いがある。「メジナ」は半島周り、「クロメジナ」は水温の高めの沖磯で釣りの格好のターゲットとして非常に人気が高い。但し、「オキナメジナ」については、数も少なく、味も劣るので釣りの対象ではない。上記写真は「クロメジナ」で、通称「尾長」・「尾長グレ」・「尾長グロ」・「エース」と呼ばれており、その名の通り、「尾長」は尾が三日月のような形状で長く、「カマ」の淵が黒くなっている。それに対して「メジナ」は、「口太」・「グレ」・「クロ」などと呼ばれており、「カマ」の淵の黒色は無く、尾の切れ込みも無い。また、「オキナメジナ」は通称「ウシグレ」・「スカ」・「スカエース」などと呼ばれ、口が正に牛のような形状で、外見も他の２種とは一目見ただけで区別できる。３種とも小さいサイズは手のひらクラスとなり、「メジナ」と「オキナメジナ」は、５０㎝クラスで大型で、「クロメジナ」も同様に５０㎝クラスで大型だが、７０ｃｍを超えるものも存在する。味は非常に美味な白身で、「イサキ」・「タイ」に近く、その他ムニエルや塩焼きでも美味しく、料理のレパートリーは広い。旬は「メジナ」は冬、「クロメジナ」は夏で、市場には殆ど出回らないが、通年に渡って美味しく食べることができる。

的鯛（まとうだい）・上記写真でもお判りの通り、体側に的のような大きな斑紋があり、また、馬の頭に似ている所からこの名が付いている。一般的には「かまぼこ」の原料として有名だが、フランスでは良質の白身魚として珍重される。魚体に対して内臓が大きい為、傷みが早い事が難点だが、鮮度の高いものは、市場では高級魚とされている。体色は銀灰色で、鱗が無いのが最大の特徴で、鮮度の高いものは体色に艶があり、黒班も鮮明だが、鮮度が落ちると斑紋はぼやけ、腹側から張りが無くなってくる。生息域は本州以南からインド・太平洋と広く分布し、主には底引き網にて捕獲される。また、ニュージーランドからの輸入物も少量ではあるが入荷している。身は柔らかめで、新鮮ならば刺身や昆布じめにすると非常に美味だが、「鯛」や「伊佐木」のような甘味は無い。その他焼き物・煮付け・蒸し物・唐揚げ等、用途は広い。旬は冬から春にかけてだが、冷凍ものは通年出回る。	柳葉魚（ししゃも）・アイヌ語で、「柳の葉」を意味する「シュシュハム」がなまって「ししゃも」と呼ばれるようになったと言われている。漁獲期が短く、近年では漁獲量も減った為に、特定の産地以外では鮮魚は殆ど入手できない状態である。一般的に出回っている「柳葉魚」の干物の大部分は、カナダノルウェーなどから輸入される「樺太柳葉魚」（カラフトししゃも）などの冷凍品を一度溶かして、寒干しにしたもので、漁獲量は、「柳葉魚」の約１０倍と非常に多く、逆に値段は３分の１から４分の１と安い値段となっている。「柳葉魚」は、「公魚」と同じ仲間の魚で、姿も似ており、尾ビレに近い背側に「脂ビレ」と呼ばれる小さなヒレがある。（「公魚」の解説を参照）上顎より下顎の方が長く、いわゆる「受け口」になっている。また「ウロコ」が比較的体の割には大きく、丸みを帯びており、剥がれやすくなっている。ちなみに「樺太柳葉魚」は「ウロコ」が細かいので、「柳葉魚」とは容易に区別することができる。体色は淡い灰褐色だが、繁殖期になると、雄は全体的に黒ずんできて皮も硬くなる。

黒ムツ（くろむつ）・「ムツ」の仲間には、上記写真の「黒ムツ」と「のどぐろ」と呼ばれている「赤ムツ」と「ムツ」の３種類が存在する。「黒ムツ」と「ムツ」は一般的に同じもののように思われがちだが、正式には同科だが別種である。「黒ムツ」は体長１ｍ近くまで成長し、体色は暗褐色だが、「ムツ」は約５０cm程度までで、体色が淡い茶色なので、比較的容易に区別がつく。「のどぐろ」と呼ばれている「赤ムツ」とは体色が明らかに違う。（「赤ムツ」（のどぐろ）の解説を参照）上質は白身魚で、冬場のものは脂肪がのり、市場では商品価値が高く、中でも「むつ子」と呼ばれる卵巣は、魚体よりも高価。体形は側扁した紡錘形で、うろこと目が大きく、鋭い歯が最大の特徴である。幼魚は沿岸の浅瀬に群れるが、成魚になると沖合の深場の岩礁域に移動する。旬は冬で、「寒むつ」が最も美味だが、夏になると極端に味が落ちることも大きな特徴である。身は柔らかめだが、脂肪が多く、新鮮なものは刺身でも美味。焼き物・煮物・鍋物などに向く。	寒鯛（かんだい）・「べら」の仲間で、日本近海に生息する「べら」の仲間の中でも最大に成長する魚である。太平洋側では茨城県以南、日本海側では佐渡島以南から南シナ海まで広く分布する暖海性で、沿岸及び沖合いの岩礁地帯に生息する。釣りものとして出回ることが多く、主には伊豆半島・能登半島・紀伊半島・対馬などが比較的多く釣れる。体形はやや側扁し、雄は成長するにつれ額の部分が「こぶ」のように突き出してくる。（上記写真は雄の成魚）雌にはその兆候がなく、以前は雄を「こぶ鯛」雌を「寒鯛」と呼び、別種とされていたが、現在では正式和名は「寒鯛」で統一されている。牙のような歯が非常に発達しており、岩場に付いた貝類やエビ・カニ類を好んで捕食する。身は柔らかめで、磯臭さを伴う多少癖のある魚である。その名の通り、旬の時期はまさに「寒」の時期で、引き味の豪快さから、磯の底物釣りのターゲットと言うイメージが強かったが、近年用途が広まり、市場でも見かける事が多くなってきた。身は癖が強い為、みそ漬やてり焼きにすると良い。また、鮮度の高いものは、塩をあてて身をしめてから刺身にすると美味。

赤羽太（あかはた）・「ハタ」の仲間としては最も市場に多く出回り、大きさも他のハタ類と比べると非常に小型で、通常成魚でも３０～４０cm程度である。（「青羽太」（あおはた）の解説を参照）（「雉羽太」（きじはた）の解説を参照）関東地方以南、インド・西太平洋などの浅い岩礁域に生息しており、日本での主産地は和歌山などである。味は「マハタ」に比べるとやや大味だが、鮮度さえよければ刺身はとても美味。刺身の他、蒸し物でも美味しく頂ける。体は赤身をおびており、背びれの縁の部分は黒いのが特徴。総菜魚として市場性は非常に高く、夏に多く出回る。	青鯛（あおだい）・体色が青く、体形が鯛に似ている所から付けられた名称で、「フエダイ」の仲間である。昔は学界でも全く知られていなかったが、質の高い白身魚で、八丈島を筆頭に伊豆七島からの入荷が代表的だが、市場にはあまり出回らない高級魚である。体高が高く扁平で、全体的に青緑色をしており、特に背の部分は色が濃く、成長に伴って体色は薄れる。鮮度の高いものは、コバルトブルーが鮮やかで、古くなると茶褐色に変わる。生息域は八丈島以南の水深１００mあたりで、身質が充実しているのは、体長４０ｃｍほどのものが一番良いとされる。旬は、夏から秋にかけてで、味はやや物足りなさもあるが、刺身を筆頭に料理の幅は非常に広い高級魚である。

目板鰈（めいたがれい）・北海道南部以南の日本全国の砂地に生息する、やや小型の鰈の仲間である。関西では非常に人気があり、高級魚として扱われているが、関東ではそれほどではないものの、市場には多く出回る。目と目の間に棘があることから「目痛鰈」と書く場合もある。同種に「ながれめいた」と言う種が存在し非常に見分けが付きにくいが、「ながれめいた」は、身にあまり締まりがなく柔らかいので、刺身で食すと簡単に判別できる。また、見た目での判別は難しいのだが、「めいた」は体の表面が黒っぽく斑紋もまばらで全身黒い事もあるが、「ながれめいた」は斑紋が丸く、体色が明るい。また、背びれと尻びれの形状が、「めいた」は尖っており、「ながれめいた」は丸みを帯びている事でも見分けが可能。新鮮なものは刺身で、その他、唐揚げ・煮つけ・干物でも美味である。産卵期にあたる秋から春にかけてが旬。（目板鰈の薄造りはこちら）	大紋羽太（おおもんはた）・南日本・インド・西太平洋の沿岸の岩礁地帯や珊瑚礁域に生息している。「ハタ」の仲間は非常に沢山存在するが、認知度は低い方で、市場でも入荷は少ない。体やひれに黄褐色もしくは褐色の円斑が網目模様に存在し、成長すると小さくなって数が増えて行く。同種のハタで「ホウセキハタ」と紛らわしいのが本種で、どちらも「ハタ」としては小さな種で、市場にも混ざって入荷する。一見見極めが難しそうだが、「オオモンハタ」は尾びれの縁が白く縁取られている事で、判別できる。身は非常に歯触りがあり、非常に美味。刺身も他にも塩焼きや鍋物でも美味しく頂ける。

かます・主に食用として市場に出回るのは、「赤かます」と「やまとかます」で、海のギャングとして有名な「バラクーダ」は、日本名で「オニカマス」と言われ、体長２m程まで成長する大魚で、これも同じ「かます」の仲間である。「赤かます」と「やまとかます」共に40～50㎝程に成長するが、市場では20～30㎝程度のものが主流となっている。やや小型とは言え、小さいながらも歯が鋭く、貧欲どう猛な所は変わり無い。また、一般的には両者を区別せず単純に、「かます」と呼んでいる場合が多い。共に背が黄褐色だが、「赤かます」はうろこが大きくて粗く、腹びれが第一背びれよりも前方に位置することが最大の特徴。「やまとかます」は、体色が淡く腹びれと第一背びれが上下相対位置にある。身は上品な味の白身で、焼き物をはじめ、椀種や揚げ物にすると非常に美味で、特にひと塩あてて一夜干にすると適度に身が締まり、とても美味である。特に初夏からの産卵時期が脂ののりも良く特に美味。	藍子（あいご）・関東ではあまり人気がない魚だが、関西以南では釣り魚として非常に人気がある。和歌山・徳島では味に対する評価も高く、九州では「バリ」と呼ばれ、専門の釣り大会も開かれる程である。沖縄でも非常に好まれ「スクガラス」と呼ばれる「藍子」の稚魚の塩漬は特産品で、豆腐やいもなどと一緒に食べる沖縄料理には欠かせないものである。多くは関東以南沿岸の岩礁地帯に生息し、関西地方以南の市場には一般的に出回っている。背ビレ・腹ビレ・尻ビレの棘には毒があり、刺されると激しく痛み、たとえ触っただけでも麻酔をかけたようになるので注意が必要。味は比較的淡白で、磯臭さが非常に強く、アンモニア臭に近い癖が味の評価を二分している。皮を剥いでから調理すると比較的癖がなくなるが、一般的には皮つきで料理する。焼き物や煮つけに向いており、特に塩煮・酒塩焼きで食す。旬は夏から秋口にかけて。

星鰈（ほしがれい）・北海道以南の本州及び東シナ海から朝鮮半島の大陸棚の砂泥底に生息。近年漁獲高が激減しており、寿司ネタとしても珍重されるが極端に高価で、季節によっては「ヒラメ」よりも高価である。また、養殖も最近盛んになりつつある。体形は楕円形で、口はやや大きい。側線は胸びれ上方で大きく曲がり、各ヒレに黒色斑があり、同種の「マツカワガレイ」との」区別ができる。有眼側は暗褐色で、無眼側はやや黄色がかった白色に暗褐色の斑点が散在する。成長が早く、通常は２年で４０cm程になり、最大で８０cm ぐらいまで成長する。また、養殖物はもっと早く成長し、雌の方が大きくなる。身は適度な脂がのっており食感が良く、基本的には新鮮なものをお刺身で頂くが、塩焼き・煮つけにしても絶品である。	比売知（ひめじ）・美しい赤色で、体形は「鯉」（コイ）に似ており、北海道から朝鮮半島、アフリカまでの沿岸の深さ９０～１００ｍの砂泥地に広く生息している。下顎に黄色い「ひげ」が２本下向きに生えているのが大きな特徴で、これを砂泥の中に刺し込んで餌を探る。体長は２０cm程の小魚で一般的には雑魚扱いされるが、西日本では高い評価を受けており、干物や高級練製品の原料などでも非常に需要が多い白身の魚である。同じ「ひめじ」の仲間としては、「ひげ」の短い「よめひめじ」、やや大型で体側に褐色の縦縞がある「おきなひめじ」や、南方系で全体的に模様の無い赤い「うみひごい」などが存在する。一般的に「ひめじ」の仲間は「ひげ」と尾びれと背びれに斜めの筋模様が入っているのが特徴である。焼き物・煮つけ・天ぷら等用途が広く、特にバターや油との相性が良く、ムニエルやフライにしても美味である。

鮭児（けいじ）・秋鮭の水揚げが一番多い北海道知床の羅臼漁協を中心に出回る非常に希少価値の高い鮭。最近水産庁の調査で、アムール川に生息する７・８月に遡上し、11月上旬から中旬にかけて知床から網走付近を主に獲れる若いシロザケであると言う説が有力である。体形や体色、特に頭部の形状でも見分けが付くが、唯一確実な鑑別点は、胃袋下側の幽門垂の数で、２２０位存在すれば「鮭児」である。一般的な「シロザケ」は大型で、６kg以上も珍しくはないが、「鮭児」は２kg台が中心の小型の若魚である。基本的には若魚なので、卵巣・精巣が成熟していないので、いわゆる筋子も白子も存在しないのが普通だが、型によっては確認できるものもある。また通常２から１５％程度の一般的な「シロザケ」の脂肪比率に対して、「鮭児」の場合、２０～３０％と極めて高く、全身が「トロ」のような状態である。水揚げは一年間の合計でも５００尾弱で、「シロザケ」漁での１万本に１～２匹の割合でしか獲れない。主に高級寿司種として使われ、近年メディアで紹介されるようになり相場が高騰し、最近のセリ値は一尾10万円超。	あら・漢字では「魚」へんに「荒」と書いて「あら」と読む。「すずき」を全体的に太くしたような体形だが、上顎の骨に副骨が無い為、頭がもっと尖っているように見える。（「鱸」（すずき）の解説を参照）関東以南、フィリピンあたりまでの沿岸の岩礁地帯のやや深い海域に広く生息しており、体長は１mぐらいまで成長する。また、稚魚の頃は縦縞が明確だか、成魚になると消えてしまう。ハタ科の「クエ」や「マハタ」も同様に「アラ」と呼ばれる事もあり、混同されがちであるが、どの魚も味が非常に良く、利用方法も似ており、また市場価値も高い。（「九絵」（くえ）の解説を参照）淡白な味の白身魚で、用途も幅広い。新鮮なものは刺身が美味で、薄造りをポン酢で食する。引いた皮は湯引きにしたり、唐揚げにして先付けや前菜として利用したりできる。他には焼き物や揚げ物、蒸し物にも向いている。秋から冬にかけて、釣りやはえ縄で捕獲されるが、数は少なく、幻の魚とも言われている。旬は晩秋。

ちか・一般的には魚へんに「近」と書いて「ちか」と読む。北海道を主に北日本の沿岸に多く生息する海水魚だが、河口や淡水と海水が混ざり合う汽水湖にも生息する。「わかさぎ」と近縁の魚で、外見も良く似ており、東京市場では「わかさぎ」に混じって入る事も多く、使い勝手もほぼ同じなので同じものとして扱われる事も多い。「わかさぎ」に比べるとやや大きめで、逆に鱗は少し細かく、腹びれの位置が「わかさぎ」よりやや後ろに位置する。（「公魚」（わかさぎ）の解説を参照）体色は、透明感が少なく、淡い褐色で体長は20㎝程で、身は白くて柔らかく、やや脂肪が多く、フライや唐揚げ、天ぷらなどに向いているが、北海道では、内臓を抜いて凍らせて薄切りにし、ルイベにする。また、新鮮なものは刺身で非常に美味。食感と味は「さより」と「いわし」の中間ぐらいで、非常に甘味がある。旬は５月の産卵期で、この頃が一番脂がのっているが、冷凍ものは年中出回っている。（「細魚」（さより）の解説を参照）（「鰯」（いわし）の解説を参照）	海たなご・北海道中部以南から九州にかけての各地の沿岸で、海藻の多く繁殖している岩礁地帯や堤防周辺に生息しており、磯・堤防釣りではお馴染みの魚である。地方によって評価は異なるが、一般的には小骨が多く、身が柔らかい非常に淡白な味なので、煮付けや味噌焼きなどにする。淡水魚の「たなご」に体形は似ているものの、体長は３０ｃｍ程に成長し、体色は固体によって変化があり、赤みの強いものや、銀白色のもの、紫や青みがかったものなど、様々である。大きな特徴は、母体の中で卵が育ち、幼魚となって体外に出てくる、いわゆる「胎生魚」と言われる所である。産出する時の幼魚は上記写真にもある通り、３～７cm程まで成長しており、体形もほぼ成魚と変わらない状態である。生まれる時には、尾から出てくると言う事から、島根では「逆子」になると言われ、妊婦には食べさせない習慣がある。逆に、東北地方では、胎生だからと言う理由から、安産を願って妊婦の食べ物としていると言われる。旬は春。

石鰈（いしがれい）・千島・樺太以南の日本各地と、朝鮮半島や台湾などにも生息している。冬から春にかけてが産卵期で、その後体長2cm程に育った稚魚は干潟などに集まって夏頃まで成長する。「鰈」の仲間としては大型で、最大70cmを超えるものもある。他の「鰈」同様、口は小さめで歯は１列の門歯状で、体側には鱗がなく、成長すると共に有眼側の背側と腹側、また側線近くに石のようなこぶ状突起が発達し、これが名前の由来となっている。有眼側は灰褐色から緑褐色で、白色の斑点が点在しており、無眼側は白色である。市場では死んでしまったものは極端に価値が下がる。活けのものを早めに皮を引けば、独特の臭みが無くなる。旬は夏から秋で、洗いや刺身、煮付けや空揚げ、塩焼き等で非常に美味。	黄肌（きはだ）・日本近海では主に太平洋側に広く生息しており、オーストラリアや台湾から生鮮入荷も多い。平均的な市場価値から言えば、「黒鮪」・「南鮪」・「大西洋黒鮪」・「目鉢」（めばち）に次いで５番目。２０ｋｇ前後までを「黄めじ」、４０ｋｇ未満を「小黄肌」と呼び分け、４０ｋｇ以上のものが成魚として扱われる。近種に、「めばち」や「びんなが」と言う種類がおり、身の色は桃色で、他のまぐろの種類と比べて赤身と脂肪の区別が無く、腹の肉は「めばち」と同様に薄い。脂が無く、筋っぽいので寿司種には向かず、刺身や「ずけ」等で用いられる。また、「びんなが」と共に、「シーチキン」缶詰の材料とされる事が非常に多い。但し、名古屋などでは、「めばち」よりも消費量が多いようである。市場には春から秋まで多く出回り、旬は夏。


油坊主（あぶらぼうず）・成魚は水深100～400ｍの間の深海の岩礁地帯を棲家にしており、幼魚は流れ藻に付くことから浅場に生息するようである。体形は円筒形で、頭部は丸みを帯び、本州中部より以北の日本沿岸に生息しており、カムチャツカ半島からベーリング海を経てカリフォルニアにまで広く分布している。成魚は約2ｍにも達する大型も存在し、体は暗色で灰色の斑紋があるが、成長するにつれて不明瞭になる。ギンダラ科の魚ではあるが、漁獲量は非常に少なく市場に通常流通しない。また、食用としても一般的ではなく、その名の通り、筋肉中に約４０％ほどの脂肪分を含んでいる。脂肪分を好む日本人にとっては良い魚のようだが、脂肪成分はグリセリドを含んでおり、食べ過ぎると激しい食中毒症状を起こす。（勿論当店で少量食べても問題ありません。）基本は照焼きか煮付けが主流だが、あまりに脂がのり過ぎており、普通の味付けでは身まで味が入って行かない為、多少濃い味付けとなる。また、鮮度の良いものはお刺身でも美味だが、これも相当な脂分の為、量は食べられない。	目仁奈（めじな）・暖流影響水域の岩礁地帯を中心とした棲家としており、日本海側は青森あたりまで、太平洋側は千葉の銚子あたりまでが北限となり、南は沖縄周辺まで生息している。同種として「メジナ」・「クロメジナ」・「オキナメジナ」の３種類があり、体形や生息域・習性等に微妙な違いがある。「メジナ」は半島周り、「クロメジナ」は水温の高めの沖磯で釣りの格好のターゲットとして非常に人気が高い。但し、「オキナメジナ」については、数も少なく、味も劣るので釣りの対象ではない。上記写真は「クロメジナ」で、通称「尾長」・「尾長グレ」・「尾長グロ」・「エース」と呼ばれており、その名の通り、「尾長」は尾が三日月のような形状で長く、「カマ」の淵が黒くなっている。それに対して「メジナ」は、「口太」・「グレ」・「クロ」などと呼ばれており、「カマ」の淵の黒色は無く、尾の切れ込みも無い。また、「オキナメジナ」は通称「ウシグレ」・「スカ」・「スカエース」などと呼ばれ、口が正に牛のような形状で、外見も他の２種とは一目見ただけで区別できる。３種とも小さいサイズは手のひらクラスとなり、「メジナ」と「オキナメジナ」は、５０㎝クラスで大型で、「クロメジナ」も同様に５０㎝クラスで大型だが、７０ｃｍを超えるものも存在する。味は非常に美味な白身で、「イサキ」・「タイ」に近く、その他ムニエルや塩焼きでも美味しく、料理のレパートリーは広い。旬は「メジナ」は冬、「クロメジナ」は夏で、市場には殆ど出回らないが、通年に渡って美味しく食べることができる。

的鯛（まとうだい）・上記写真でもお判りの通り、体側に的のような大きな斑紋があり、また、馬の頭に似ている所からこの名が付いている。一般的には「かまぼこ」の原料として有名だが、フランスでは良質の白身魚として珍重される。魚体に対して内臓が大きい為、傷みが早い事が難点だが、鮮度の高いものは、市場では高級魚とされている。体色は銀灰色で、鱗が無いのが最大の特徴で、鮮度の高いものは体色に艶があり、黒班も鮮明だが、鮮度が落ちると斑紋はぼやけ、腹側から張りが無くなってくる。生息域は本州以南からインド・太平洋と広く分布し、主には底引き網にて捕獲される。また、ニュージーランドからの輸入物も少量ではあるが入荷している。身は柔らかめで、新鮮ならば刺身や昆布じめにすると非常に美味だが、「鯛」や「伊佐木」のような甘味は無い。その他焼き物・煮付け・蒸し物・唐揚げ等、用途は広い。旬は冬から春にかけてだが、冷凍ものは通年出回る。	柳葉魚（ししゃも）・アイヌ語で、「柳の葉」を意味する「シュシュハム」がなまって「ししゃも」と呼ばれるようになったと言われている。漁獲期が短く、近年では漁獲量も減った為に、特定の産地以外では鮮魚は殆ど入手できない状態である。一般的に出回っている「柳葉魚」の干物の大部分は、カナダノルウェーなどから輸入される「樺太柳葉魚」（カラフトししゃも）などの冷凍品を一度溶かして、寒干しにしたもので、漁獲量は、「柳葉魚」の約１０倍と非常に多く、逆に値段は３分の１から４分の１と安い値段となっている。「柳葉魚」は、「公魚」と同じ仲間の魚で、姿も似ており、尾ビレに近い背側に「脂ビレ」と呼ばれる小さなヒレがある。（「公魚」の解説を参照）上顎より下顎の方が長く、いわゆる「受け口」になっている。また「ウロコ」が比較的体の割には大きく、丸みを帯びており、剥がれやすくなっている。ちなみに「樺太柳葉魚」は「ウロコ」が細かいので、「柳葉魚」とは容易に区別することができる。体色は淡い灰褐色だが、繁殖期になると、雄は全体的に黒ずんできて皮も硬くなる。

黒ムツ（くろむつ）・「ムツ」の仲間には、上記写真の「黒ムツ」と「のどぐろ」と呼ばれている「赤ムツ」と「ムツ」の３種類が存在する。「黒ムツ」と「ムツ」は一般的に同じもののように思われがちだが、正式には同科だが別種である。「黒ムツ」は体長１ｍ近くまで成長し、体色は暗褐色だが、「ムツ」は約５０cm程度までで、体色が淡い茶色なので、比較的容易に区別がつく。「のどぐろ」と呼ばれている「赤ムツ」とは体色が明らかに違う。（「赤ムツ」（のどぐろ）の解説を参照）上質は白身魚で、冬場のものは脂肪がのり、市場では商品価値が高く、中でも「むつ子」と呼ばれる卵巣は、魚体よりも高価。体形は側扁した紡錘形で、うろこと目が大きく、鋭い歯が最大の特徴である。幼魚は沿岸の浅瀬に群れるが、成魚になると沖合の深場の岩礁域に移動する。旬は冬で、「寒むつ」が最も美味だが、夏になると極端に味が落ちることも大きな特徴である。身は柔らかめだが、脂肪が多く、新鮮なものは刺身でも美味。焼き物・煮物・鍋物などに向く。	寒鯛（かんだい）・「べら」の仲間で、日本近海に生息する「べら」の仲間の中でも最大に成長する魚である。太平洋側では茨城県以南、日本海側では佐渡島以南から南シナ海まで広く分布する暖海性で、沿岸及び沖合いの岩礁地帯に生息する。釣りものとして出回ることが多く、主には伊豆半島・能登半島・紀伊半島・対馬などが比較的多く釣れる。体形はやや側扁し、雄は成長するにつれ額の部分が「こぶ」のように突き出してくる。（上記写真は雄の成魚）雌にはその兆候がなく、以前は雄を「こぶ鯛」雌を「寒鯛」と呼び、別種とされていたが、現在では正式和名は「寒鯛」で統一されている。牙のような歯が非常に発達しており、岩場に付いた貝類やエビ・カニ類を好んで捕食する。身は柔らかめで、磯臭さを伴う多少癖のある魚である。その名の通り、旬の時期はまさに「寒」の時期で、引き味の豪快さから、磯の底物釣りのターゲットと言うイメージが強かったが、近年用途が広まり、市場でも見かける事が多くなってきた。身は癖が強い為、みそ漬やてり焼きにすると良い。また、鮮度の高いものは、塩をあてて身をしめてから刺身にすると美味。

赤羽太（あかはた）・「ハタ」の仲間としては最も市場に多く出回り、大きさも他のハタ類と比べると非常に小型で、通常成魚でも３０～４０cm程度である。（「青羽太」（あおはた）の解説を参照）（「雉羽太」（きじはた）の解説を参照）関東地方以南、インド・西太平洋などの浅い岩礁域に生息しており、日本での主産地は和歌山などである。味は「マハタ」に比べるとやや大味だが、鮮度さえよければ刺身はとても美味。刺身の他、蒸し物でも美味しく頂ける。体は赤身をおびており、背びれの縁の部分は黒いのが特徴。総菜魚として市場性は非常に高く、夏に多く出回る。	青鯛（あおだい）・体色が青く、体形が鯛に似ている所から付けられた名称で、「フエダイ」の仲間である。昔は学界でも全く知られていなかったが、質の高い白身魚で、八丈島を筆頭に伊豆七島からの入荷が代表的だが、市場にはあまり出回らない高級魚である。体高が高く扁平で、全体的に青緑色をしており、特に背の部分は色が濃く、成長に伴って体色は薄れる。鮮度の高いものは、コバルトブルーが鮮やかで、古くなると茶褐色に変わる。生息域は八丈島以南の水深１００mあたりで、身質が充実しているのは、体長４０ｃｍほどのものが一番良いとされる。旬は、夏から秋にかけてで、味はやや物足りなさもあるが、刺身を筆頭に料理の幅は非常に広い高級魚である。

目板鰈（めいたがれい）・北海道南部以南の日本全国の砂地に生息する、やや小型の鰈の仲間である。関西では非常に人気があり、高級魚として扱われているが、関東ではそれほどではないものの、市場には多く出回る。目と目の間に棘があることから「目痛鰈」と書く場合もある。同種に「ながれめいた」と言う種が存在し非常に見分けが付きにくいが、「ながれめいた」は、身にあまり締まりがなく柔らかいので、刺身で食すと簡単に判別できる。また、見た目での判別は難しいのだが、「めいた」は体の表面が黒っぽく斑紋もまばらで全身黒い事もあるが、「ながれめいた」は斑紋が丸く、体色が明るい。また、背びれと尻びれの形状が、「めいた」は尖っており、「ながれめいた」は丸みを帯びている事でも見分けが可能。新鮮なものは刺身で、その他、唐揚げ・煮つけ・干物でも美味である。産卵期にあたる秋から春にかけてが旬。（目板鰈の薄造りはこちら）	大紋羽太（おおもんはた）・南日本・インド・西太平洋の沿岸の岩礁地帯や珊瑚礁域に生息している。「ハタ」の仲間は非常に沢山存在するが、認知度は低い方で、市場でも入荷は少ない。体やひれに黄褐色もしくは褐色の円斑が網目模様に存在し、成長すると小さくなって数が増えて行く。同種のハタで「ホウセキハタ」と紛らわしいのが本種で、どちらも「ハタ」としては小さな種で、市場にも混ざって入荷する。一見見極めが難しそうだが、「オオモンハタ」は尾びれの縁が白く縁取られている事で、判別できる。身は非常に歯触りがあり、非常に美味。刺身も他にも塩焼きや鍋物でも美味しく頂ける。

かます・主に食用として市場に出回るのは、「赤かます」と「やまとかます」で、海のギャングとして有名な「バラクーダ」は、日本名で「オニカマス」と言われ、体長２m程まで成長する大魚で、これも同じ「かます」の仲間である。「赤かます」と「やまとかます」共に40～50㎝程に成長するが、市場では20～30㎝程度のものが主流となっている。やや小型とは言え、小さいながらも歯が鋭く、貧欲どう猛な所は変わり無い。また、一般的には両者を区別せず単純に、「かます」と呼んでいる場合が多い。共に背が黄褐色だが、「赤かます」はうろこが大きくて粗く、腹びれが第一背びれよりも前方に位置することが最大の特徴。「やまとかます」は、体色が淡く腹びれと第一背びれが上下相対位置にある。身は上品な味の白身で、焼き物をはじめ、椀種や揚げ物にすると非常に美味で、特にひと塩あてて一夜干にすると適度に身が締まり、とても美味である。特に初夏からの産卵時期が脂ののりも良く特に美味。	藍子（あいご）・関東ではあまり人気がない魚だが、関西以南では釣り魚として非常に人気がある。和歌山・徳島では味に対する評価も高く、九州では「バリ」と呼ばれ、専門の釣り大会も開かれる程である。沖縄でも非常に好まれ「スクガラス」と呼ばれる「藍子」の稚魚の塩漬は特産品で、豆腐やいもなどと一緒に食べる沖縄料理には欠かせないものである。多くは関東以南沿岸の岩礁地帯に生息し、関西地方以南の市場には一般的に出回っている。背ビレ・腹ビレ・尻ビレの棘には毒があり、刺されると激しく痛み、たとえ触っただけでも麻酔をかけたようになるので注意が必要。味は比較的淡白で、磯臭さが非常に強く、アンモニア臭に近い癖が味の評価を二分している。皮を剥いでから調理すると比較的癖がなくなるが、一般的には皮つきで料理する。焼き物や煮つけに向いており、特に塩煮・酒塩焼きで食す。旬は夏から秋口にかけて。

星鰈（ほしがれい）・北海道以南の本州及び東シナ海から朝鮮半島の大陸棚の砂泥底に生息。近年漁獲高が激減しており、寿司ネタとしても珍重されるが極端に高価で、季節によっては「ヒラメ」よりも高価である。また、養殖も最近盛んになりつつある。体形は楕円形で、口はやや大きい。側線は胸びれ上方で大きく曲がり、各ヒレに黒色斑があり、同種の「マツカワガレイ」との」区別ができる。有眼側は暗褐色で、無眼側はやや黄色がかった白色に暗褐色の斑点が散在する。成長が早く、通常は２年で４０cm程になり、最大で８０cm ぐらいまで成長する。また、養殖物はもっと早く成長し、雌の方が大きくなる。身は適度な脂がのっており食感が良く、基本的には新鮮なものをお刺身で頂くが、塩焼き・煮つけにしても絶品である。	比売知（ひめじ）・美しい赤色で、体形は「鯉」（コイ）に似ており、北海道から朝鮮半島、アフリカまでの沿岸の深さ９０～１００ｍの砂泥地に広く生息している。下顎に黄色い「ひげ」が２本下向きに生えているのが大きな特徴で、これを砂泥の中に刺し込んで餌を探る。体長は２０cm程の小魚で一般的には雑魚扱いされるが、西日本では高い評価を受けており、干物や高級練製品の原料などでも非常に需要が多い白身の魚である。同じ「ひめじ」の仲間としては、「ひげ」の短い「よめひめじ」、やや大型で体側に褐色の縦縞がある「おきなひめじ」や、南方系で全体的に模様の無い赤い「うみひごい」などが存在する。一般的に「ひめじ」の仲間は「ひげ」と尾びれと背びれに斜めの筋模様が入っているのが特徴である。焼き物・煮つけ・天ぷら等用途が広く、特にバターや油との相性が良く、ムニエルやフライにしても美味である。

鮭児（けいじ）・秋鮭の水揚げが一番多い北海道知床の羅臼漁協を中心に出回る非常に希少価値の高い鮭。最近水産庁の調査で、アムール川に生息する７・８月に遡上し、11月上旬から中旬にかけて知床から網走付近を主に獲れる若いシロザケであると言う説が有力である。体形や体色、特に頭部の形状でも見分けが付くが、唯一確実な鑑別点は、胃袋下側の幽門垂の数で、２２０位存在すれば「鮭児」である。一般的な「シロザケ」は大型で、６kg以上も珍しくはないが、「鮭児」は２kg台が中心の小型の若魚である。基本的には若魚なので、卵巣・精巣が成熟していないので、いわゆる筋子も白子も存在しないのが普通だが、型によっては確認できるものもある。また通常２から１５％程度の一般的な「シロザケ」の脂肪比率に対して、「鮭児」の場合、２０～３０％と極めて高く、全身が「トロ」のような状態である。水揚げは一年間の合計でも５００尾弱で、「シロザケ」漁での１万本に１～２匹の割合でしか獲れない。主に高級寿司種として使われ、近年メディアで紹介されるようになり相場が高騰し、最近のセリ値は一尾10万円超。	あら・漢字では「魚」へんに「荒」と書いて「あら」と読む。「すずき」を全体的に太くしたような体形だが、上顎の骨に副骨が無い為、頭がもっと尖っているように見える。（「鱸」（すずき）の解説を参照）関東以南、フィリピンあたりまでの沿岸の岩礁地帯のやや深い海域に広く生息しており、体長は１mぐらいまで成長する。また、稚魚の頃は縦縞が明確だか、成魚になると消えてしまう。ハタ科の「クエ」や「マハタ」も同様に「アラ」と呼ばれる事もあり、混同されがちであるが、どの魚も味が非常に良く、利用方法も似ており、また市場価値も高い。（「九絵」（くえ）の解説を参照）淡白な味の白身魚で、用途も幅広い。新鮮なものは刺身が美味で、薄造りをポン酢で食する。引いた皮は湯引きにしたり、唐揚げにして先付けや前菜として利用したりできる。他には焼き物や揚げ物、蒸し物にも向いている。秋から冬にかけて、釣りやはえ縄で捕獲されるが、数は少なく、幻の魚とも言われている。旬は晩秋。

ちか・一般的には魚へんに「近」と書いて「ちか」と読む。北海道を主に北日本の沿岸に多く生息する海水魚だが、河口や淡水と海水が混ざり合う汽水湖にも生息する。「わかさぎ」と近縁の魚で、外見も良く似ており、東京市場では「わかさぎ」に混じって入る事も多く、使い勝手もほぼ同じなので同じものとして扱われる事も多い。「わかさぎ」に比べるとやや大きめで、逆に鱗は少し細かく、腹びれの位置が「わかさぎ」よりやや後ろに位置する。（「公魚」（わかさぎ）の解説を参照）体色は、透明感が少なく、淡い褐色で体長は20㎝程で、身は白くて柔らかく、やや脂肪が多く、フライや唐揚げ、天ぷらなどに向いているが、北海道では、内臓を抜いて凍らせて薄切りにし、ルイベにする。また、新鮮なものは刺身で非常に美味。食感と味は「さより」と「いわし」の中間ぐらいで、非常に甘味がある。旬は５月の産卵期で、この頃が一番脂がのっているが、冷凍ものは年中出回っている。（「細魚」（さより）の解説を参照）（「鰯」（いわし）の解説を参照）	海たなご・北海道中部以南から九州にかけての各地の沿岸で、海藻の多く繁殖している岩礁地帯や堤防周辺に生息しており、磯・堤防釣りではお馴染みの魚である。地方によって評価は異なるが、一般的には小骨が多く、身が柔らかい非常に淡白な味なので、煮付けや味噌焼きなどにする。淡水魚の「たなご」に体形は似ているものの、体長は３０ｃｍ程に成長し、体色は固体によって変化があり、赤みの強いものや、銀白色のもの、紫や青みがかったものなど、様々である。大きな特徴は、母体の中で卵が育ち、幼魚となって体外に出てくる、いわゆる「胎生魚」と言われる所である。産出する時の幼魚は上記写真にもある通り、３～７cm程まで成長しており、体形もほぼ成魚と変わらない状態である。生まれる時には、尾から出てくると言う事から、島根では「逆子」になると言われ、妊婦には食べさせない習慣がある。逆に、東北地方では、胎生だからと言う理由から、安産を願って妊婦の食べ物としていると言われる。旬は春。

石鰈（いしがれい）・千島・樺太以南の日本各地と、朝鮮半島や台湾などにも生息している。冬から春にかけてが産卵期で、その後体長2cm程に育った稚魚は干潟などに集まって夏頃まで成長する。「鰈」の仲間としては大型で、最大70cmを超えるものもある。他の「鰈」同様、口は小さめで歯は１列の門歯状で、体側には鱗がなく、成長すると共に有眼側の背側と腹側、また側線近くに石のようなこぶ状突起が発達し、これが名前の由来となっている。有眼側は灰褐色から緑褐色で、白色の斑点が点在しており、無眼側は白色である。市場では死んでしまったものは極端に価値が下がる。活けのものを早めに皮を引けば、独特の臭みが無くなる。旬は夏から秋で、洗いや刺身、煮付けや空揚げ、塩焼き等で非常に美味。	黄肌（きはだ）・日本近海では主に太平洋側に広く生息しており、オーストラリアや台湾から生鮮入荷も多い。平均的な市場価値から言えば、「黒鮪」・「南鮪」・「大西洋黒鮪」・「目鉢」（めばち）に次いで５番目。２０ｋｇ前後までを「黄めじ」、４０ｋｇ未満を「小黄肌」と呼び分け、４０ｋｇ以上のものが成魚として扱われる。近種に、「めばち」や「びんなが」と言う種類がおり、身の色は桃色で、他のまぐろの種類と比べて赤身と脂肪の区別が無く、腹の肉は「めばち」と同様に薄い。脂が無く、筋っぽいので寿司種には向かず、刺身や「ずけ」等で用いられる。また、「びんなが」と共に、「シーチキン」缶詰の材料とされる事が非常に多い。但し、名古屋などでは、「めばち」よりも消費量が多いようである。市場には春から秋まで多く出回り、旬は夏。