席を彩るお料理の主役達・食材ご紹介

その他　Vol.01


スッポン・関西地方では、別称　「まる」と呼ばれる。江戸時代からの高級素材で、日本料理には特に欠かせない。近年はお造りやから揚げなど料理の幅も広がってきている。旬は、１０月後半から春先とされ、冬場は脂ののりが良く美味い。代表的な料理方法としては、煮氷・唐揚げ・鍋・肝刺し等で、特に鍋の後の雑炊は、美味である。	真海鼠（まなまこ）・ウニと同じく棘皮（きょくひ）動物で、食用として一般的なものは、「まなまこ」である。外洋的な環境に生息するものは、体色が赤褐色で通称「あかなまこ」と呼ばれ、内湾の砂泥底に生息するものは青黒く、通称「あおなまこ」と呼ばれているが、どちらも同種の「まなまこ」である。体を刺激すると、消化管を吐き出したり、目切したりといった行動で身を守る習性がある。寒い時期が旬で、冬から春にかけて美味である。この「まなまこ」の内臓（腸管）は言わずと知れた「このわた」であり、「うに」・「からすみ」と並ぶ日本の三大珍味とされる。この他、卵巣は、「この子」・「口子」などと呼ばれ、「このわた」に引けを取らないくらい非常に美味である。また、この卵巣を干したものを「干子（ほしこ）」と呼び、これもまた非常に美味である。（干子はこちら）

槍烏賊（やりいか）・沖縄を除く日本中の水深100メートルを超える海に生息。別名、スルメイカの「夏イカ」に対して、「冬イカ」と呼ばれる。全体の特徴としては、胴は細長い円筒形で、「えんぺら」と呼ばれるヒレは後方に付き、菱形をしている。腕の吸盤は2列に並び、目は透明の膜に覆われている。雄は特に細長く、雌は幾分ずんぐりとした体形をしている。春が産卵時期の為、冬から春までが旬。刺身用イカとしては高級品で、身は透明感のある身で、味そのものというより、程良い歯触りを楽しむ。春先になると「子持ち」になり、この卵が珍味である。甘味があり、これがとても美味である。また、このヤリイカの子の煮つけというのが絶品である。（「煽烏賊」（あおりいか）の解説を参照）（「剣先烏賊」（けんさきいか）の解説を参照）	海胆（うに）・海に生息し、体が栗に似ている所から「海栗」と書いたり、「雲丹」と言ういう漢字もある。「雲丹」と言う表記は瓶詰めに加工されたものに使う。主に潮の干満の影響を多く受ける磯から、深海まで分布し、種類によって岩礁地帯と砂地とに分かれる。岩礁に生息する種類の多くは、球形の殻と鋭いトゲを持っており体の下面に付いている５本の歯で海藻や動物の死体などを主食としている。砂地に生息する種類の多くは、円盤状や人間の心臓のような形をしておりトゲは短く砂泥ごと口に入れて中に混じっている栄養分をとる。食用にされるのはもっぱら岩礁に生息する種類に限られ、これらの生殖巣（卵巣及び精巣）のみを食べる。また、食用にされる種類は多いが、日本ではナガウニ科の「ムラサキウニ」、オオバフンウニ科の「ハブンウニ」・「キタムラサキウニ」・「エゾバフンウニ」の４種類が主体となっており、他の種類も捕れるが産地でのみ消費される程度である。写真は「ムラサキウニ」で、特徴としては、岩礁に生息する最も一般的な種で、殻の直径が約５センチ、高さ約２．５センチの大きさ。トゲは硬くて丈夫で長いものは５センチ程の長さになる。北海道南部から香港にかけて広く分布し、旬は６～８月の産卵期が美味しい。（甘鯛海胆蒸しはこちら）

真蛸（まだこ）・日本海側は能登半島以南、太平洋側では茨城県以南に棲息する。「たこ」は、言わずと知れた日本人には非常に馴染みの深いもので、日本の色々な文化のキャラクターにもなっている。「たこ」の仲間は多いが一般的に食用として市場に出回るのは、「まだこ」と「みずだこ」と「いいだこ」で、南方系の「まだこ」に対して「みずだこ」は北方系。「いいだこ」は北海道南部あたりから日本近海に生息する小型のたこで、体長は約３０㎝ほどにしかならない。メスの持っているタマゴが「ご飯つぶ」に似ている所からこの名がある。たこ漁といえば「蛸壺」が有名だが、最近では大きな籠状のものが多く見受けられる。東京湾で代表的なタコ釣りの「てんや」釣りは、今でも主流で、「てんや」と言う道具にカニなどを結び付けてタコをのせ、引っ掛ける。最近では生だこの刺身も流行だか、鮮度の良いものをよく塩揉みし、さっと茹で揚げたものが非常に美味。この所、市場に出回る輸入ものが圧倒的に増えつつあるが、値段は国産に比べて非常に安く、味も格段の差がある。見分け方は、国産のたこは濃い豆色に対して、輸入ものは、濃い朱色である。	煽烏賊（あおりいか）・ひれが胴全体に渡り、楕円形で「コウイカ」に似た体形だが、ヤリイカの仲間である。（「槍烏賊」（やりいか）の解説を参照）（「甲烏賊」（こういか）の解説を参照）「あおりいか」には白く透明なものと、黒くくすんだ色のものと、大型に成長しないものの３種類が存在する。また、「もいか」・「くついか」・「ばしょういか」・「みずいか」など、地方名も沢山存在し、西・南日本方面では「みずするめ」と呼ばれる干物があり、「スルメイカ」で作るするめとは違って、とても柔かな食感が特徴である。肉質は厚くて非常に柔らかく、味には甘味がある。最高級のイカとして、刺身は勿論、干物・焼き物何でも美味。高級品だが、市場への出回る数は結構多い。の最高峰。北海道南部以南から南には海外まで広く生息しており、体長は、１キロ前後の食べごろサイズから３キロ以上の大型も存在し、釣りの対象としても人気がある。とにかく刺身は絶品で、身は柔かだがしっかりとした歯ごたえがあり、味は甘く、噛めば噛むほど味が染み出してくる。
	この写真は当店主友人が先頃横須賀沖で死亡したコククジラを地元漁師より譲り受けたもので、当店にも分けて戴きました。鯨の消費は７割が関西以南であるが、房総産「くじらのたれ」は知る人ぞ知る一品で、鯨肉を干したもので、絶品である。
蛍烏賊（ほたるいか）・日本海側の生息がイメージが強く、特に富山湾特産で有名だが、鹿島灘・相模湾・駿河湾等の太平洋側にも生息する。体長は１０㎝ほどの小さなもので、腕や腹部に発光器を持ち、海中で綺麗に光る様子は有名である。関東では、福井・鳥取・兵庫などを中心に冬から晩春あたりまで非常に多く市場に出回るが、やはり富山産のものは、中でも大型で品質も良く、価格も高い。最近では冷凍ものが出回り、一年中見ることができる。茹で物・煮物が一般的だが、鮮度の良いものは、やはり刺身が非常に美味である。	鯨（くじら）・「鯨」の様々な部位を食用として多様に使用する例は日本以外に殆ど見られない。ご承知の通り、捕鯨の最盛期は昭和３０年代後半で、それ以降、捕獲量の制限増加や特定種の前面捕鯨禁止等で、昭和５０年に入ると価格は次第に上がり、今では珍重される事となった。「鯨」はひげのあるものと、ひげは無く下歯の強い歯クジラに大別され、前者は大型で肉の味の良いものが多く、鯨油も取れるが、後者は「マッコウクジラ」以外は小型で味はやや劣る。また、前者は脂ののりが良くなる１１月～３月に南氷洋捕鯨で捕獲され、母船上ですぐに解体され、部位別・等級別に区分けされ冷凍される。後者は沿岸捕鯨で捕獲され、現場消費が主体となるが生肉で流通する利点をもつ。 ●部位の説明・赤肉：背びれから頭の付け根までの背肉の部分で脂肪の無い　　　　赤身肉。・尾の身：背びれから尾の付け根までの肉で脂肪が多く柔らかい　　　　　鯨肉で最も高級な部位。・尾羽：尾羽毛（おばけ）とも呼ばれ、尾びれの部分。色は白く、　　　　匂いも味も殆ど無く、弾力があって歯ざわりが良い。・畝須（うねす）：腹側にある縞状の白い部分が「畝」で、その内　　　　　　　　　側の赤身が須の子で、両方合わせて「畝須」と　　　　　　　　　呼ぶ。茹でて燻製にしたものがベーコン。・本皮：背中の黒い表皮のすぐ下の脂肪層。鯨油で揚げて乾燥　　　　させたものが、「いり皮」。・かぶら骨：上あごの軟骨の部分・さえずり：舌・百尋（ひゃくひろ）：小腸

数の子（かずのこ）・言わずと知れた「鰊（にしん）」の子であるが、当の「鰊」が戦後数年で漁獲量が激減し、近年では「数の子」の原料はほとんどカナダ及びアメリカからの輸入物となっている。この名の由来は、アイヌの言葉で「鰊」を「かど」と言うそうで、その子供と言うことで「かどの子」から「数の子」になったそうである。「数の子」は「鰊」が水揚げされて２、３日後に固まり、取り出す事ができ、また独特のアクがあり、食べる際に、苦みとなって感じられる。食用となった時期は、古くは江戸時代まで遡るが、その当時は天日干しをした「干し数の子」として売られていたそうで、現在の塩数の子が流通するようになったのは、明治３０年頃からのようである。お正月料理には欠かせないものとなったのも江戸時代中期あたりだそうで、「鰊」が「数の子」を産むように、多くの子供が授かりますようにとの縁起を担いだもので、当時は価格も安く、貧富を問わず広く食された。	水雲（もずく）・太さ１㎜未満、長さ４０㎝にもなる黄緑色の海藻で、糸のように細い枝が幾つにも枝分かれしており、粘質に富んでいる。また、非常に柔らかく糸状の部分は円柱状で、老成すると中空となる。本種の仲間には「いしもずく」、「おきなわもずく」などがある。「もずく」は北海道西南部から九州に至る太平洋・日本海沿岸、「いしもずく」は北海道周辺から太平洋沿岸北部・中部、瀬戸内海、九州、日本海沿岸と朝鮮半島まで、「おきなわもずく」は、九州南部から沖縄にかけての暖海に分布する。内湾の静かな所に育つ「ほんだわら」類などに着生し、北海道では主として「つるも」、本州中部では「まめたわら」に着生する。上記種は区別されず「もずく」として市場に出回るが、産地では生ものも食べられている。一般的には塩蔵、または酢漬けにされて出荷され、「もずく酢」・「養老もずく」・「もずく雑炊」などが有名な料理である。旬は２～３月で、なかでも若生のものが良質とされている。（「芽蕪」（めかぶ）の解説を参照）

甲烏賊（こういか）・春に生まれた「コウイカ」は秋口になると甲の大きさが１０cm ほどに成長し、秋の寿司種の名物「新いか」と呼ばれる。甘くて柔らかな身は絶品だが、最近市場では入荷が少なくなり、高級食材として有名である。関東では「墨烏賊」と呼ぶのが一般的で、東京湾での釣りも盛んで、テンヤでの「シャコ」餌の仕掛けで釣るスタイルが有名である。関東以西の内湾に広く分布しており、地方では「真烏賊」（マイカ）とも呼ばれる。関東の市場ではその名の通り、墨にまみれて入荷するが、関西では墨を綺麗に洗って並んでいる。江戸前名物の天ぷらや揚げものとしても有名だが、やはり刺身で頂く「コウイカ」は絶品である。（「煽烏賊」（あおりいか）の解説を参照）	筋子（すじこ）・「筋子」とは、サケ科の魚の卵巣の総称で、特定種の為の呼称ではない。一般的には鮭の卵を「イクラ」呼ぶ事は非常に有名だが、元来「イクラ」とは魚の卵を意味するロシア語である事はあまり知られていない。筋の様な卵巣膜によって卵が繋がっており、この卵巣膜を取ってバラしたものが「イクラ」または「バラ子」と呼ばれている。火を通すことは滅多に無く、市場に流通しているそのほとんどは「イクラ」として加工するか、塩蔵加工した物。通常、「筋子」と言う表記の場合、塩蔵品を示す事がほとんどで、その他に醤油漬けや粕漬けなどもある。特に未加工の筋子の事を生筋子と呼んで区別をつけている。

芽蕪（めかぶ）・若布の根元部分の肉厚のヒダヒダの部分を「めかぶ」と呼ぶ。若布は、昆布科の海藻で、日本近海にのみ生息し、朝鮮半島、暖流の影響のある北海道の西岸から九州まで広く分布している。古くから食用とされており、海岸に生育するものを採取するだけでなく、最近では養殖が普及し天然物よりも多く出回り、また加工や保存技術の発達によって一年中市場に出回るようになっている。「芽株」や「雌株」と書く事もある通り、簡単に言えば、若布の生殖器官である。葉や茎に比べて栄養分が凝縮されており、食物繊維やミネラル分も、２０％以上も多く含まれている。主な産地は三陸地方の葉の長い「南部若布」と、潮流の激しい徳島県鳴門地方の「鳴戸若布」や山陰地方の葉の幅が広い「出雲若布」などが有名。最近評判のヌルネバ食材だが、めかぶのヌメリ主成分は、アルギン酸やフコイダンといった水溶性の食物繊維で、「もずく」のヌメリ成分と同じ。（「水雲」（もずく）の解説を参照）	剣先烏賊（けんさきいか）・本州中部以南の近海に広く生息しており、冬の「ヤリイカ」と夏の「スルメイカ」の丁度中間の季節に多く市場にも入荷するが、市場での価値は高く、値段は高い。イカの仲間は、様々に変色する為、山陰地方では「白イカ」、房総半島あたりでは、「赤イカ」などと呼ばれ、他種と混同する事も多いようである。また、同じ「イカ」の仲間の「ヤリイカ」、「ブドウイカ」、「ジンドウイカ」などとは、小型の時には非常に見分けがつけずらい。現在は、釣りで有名な「マルイカ」は通称「ダルマイカ」と呼ばれ、これは、「ケンサキイカ」の幼形とされているが、未だイカの仲間の種別等については、未知の部分が多い。この幼形の頃の「ケンサキイカ」は、歯ごたえ、歯切れ共に良く、特に甘味が高く、「ヤリイカ」にもひけをとらない。（「槍烏賊」（やりいか）の解説を参照）さっぱりとした味わいの「アオリイカ」とは対照的に強い甘味を含んだ濃厚な味である。（「煽烏賊」（あおりいか）の解説を参照）格別な甘みを味わうなら、やはり刺身かイカそうめんが一番だが、干し物や煮付け、軽く炒めても美味である。


スッポン・関西地方では、別称　「まる」と呼ばれる。江戸時代からの高級素材で、日本料理には特に欠かせない。近年はお造りやから揚げなど料理の幅も広がってきている。旬は、１０月後半から春先とされ、冬場は脂ののりが良く美味い。代表的な料理方法としては、煮氷・唐揚げ・鍋・肝刺し等で、特に鍋の後の雑炊は、美味である。	真海鼠（まなまこ）・ウニと同じく棘皮（きょくひ）動物で、食用として一般的なものは、「まなまこ」である。外洋的な環境に生息するものは、体色が赤褐色で通称「あかなまこ」と呼ばれ、内湾の砂泥底に生息するものは青黒く、通称「あおなまこ」と呼ばれているが、どちらも同種の「まなまこ」である。体を刺激すると、消化管を吐き出したり、目切したりといった行動で身を守る習性がある。寒い時期が旬で、冬から春にかけて美味である。この「まなまこ」の内臓（腸管）は言わずと知れた「このわた」であり、「うに」・「からすみ」と並ぶ日本の三大珍味とされる。この他、卵巣は、「この子」・「口子」などと呼ばれ、「このわた」に引けを取らないくらい非常に美味である。また、この卵巣を干したものを「干子（ほしこ）」と呼び、これもまた非常に美味である。（干子はこちら）

槍烏賊（やりいか）・沖縄を除く日本中の水深100メートルを超える海に生息。別名、スルメイカの「夏イカ」に対して、「冬イカ」と呼ばれる。全体の特徴としては、胴は細長い円筒形で、「えんぺら」と呼ばれるヒレは後方に付き、菱形をしている。腕の吸盤は2列に並び、目は透明の膜に覆われている。雄は特に細長く、雌は幾分ずんぐりとした体形をしている。春が産卵時期の為、冬から春までが旬。刺身用イカとしては高級品で、身は透明感のある身で、味そのものというより、程良い歯触りを楽しむ。春先になると「子持ち」になり、この卵が珍味である。甘味があり、これがとても美味である。また、このヤリイカの子の煮つけというのが絶品である。（「煽烏賊」（あおりいか）の解説を参照）（「剣先烏賊」（けんさきいか）の解説を参照）	海胆（うに）・海に生息し、体が栗に似ている所から「海栗」と書いたり、「雲丹」と言ういう漢字もある。「雲丹」と言う表記は瓶詰めに加工されたものに使う。主に潮の干満の影響を多く受ける磯から、深海まで分布し、種類によって岩礁地帯と砂地とに分かれる。岩礁に生息する種類の多くは、球形の殻と鋭いトゲを持っており体の下面に付いている５本の歯で海藻や動物の死体などを主食としている。砂地に生息する種類の多くは、円盤状や人間の心臓のような形をしておりトゲは短く砂泥ごと口に入れて中に混じっている栄養分をとる。食用にされるのはもっぱら岩礁に生息する種類に限られ、これらの生殖巣（卵巣及び精巣）のみを食べる。また、食用にされる種類は多いが、日本ではナガウニ科の「ムラサキウニ」、オオバフンウニ科の「ハブンウニ」・「キタムラサキウニ」・「エゾバフンウニ」の４種類が主体となっており、他の種類も捕れるが産地でのみ消費される程度である。写真は「ムラサキウニ」で、特徴としては、岩礁に生息する最も一般的な種で、殻の直径が約５センチ、高さ約２．５センチの大きさ。トゲは硬くて丈夫で長いものは５センチ程の長さになる。北海道南部から香港にかけて広く分布し、旬は６～８月の産卵期が美味しい。（甘鯛海胆蒸しはこちら）

真蛸（まだこ）・日本海側は能登半島以南、太平洋側では茨城県以南に棲息する。「たこ」は、言わずと知れた日本人には非常に馴染みの深いもので、日本の色々な文化のキャラクターにもなっている。「たこ」の仲間は多いが一般的に食用として市場に出回るのは、「まだこ」と「みずだこ」と「いいだこ」で、南方系の「まだこ」に対して「みずだこ」は北方系。「いいだこ」は北海道南部あたりから日本近海に生息する小型のたこで、体長は約３０㎝ほどにしかならない。メスの持っているタマゴが「ご飯つぶ」に似ている所からこの名がある。たこ漁といえば「蛸壺」が有名だが、最近では大きな籠状のものが多く見受けられる。東京湾で代表的なタコ釣りの「てんや」釣りは、今でも主流で、「てんや」と言う道具にカニなどを結び付けてタコをのせ、引っ掛ける。最近では生だこの刺身も流行だか、鮮度の良いものをよく塩揉みし、さっと茹で揚げたものが非常に美味。この所、市場に出回る輸入ものが圧倒的に増えつつあるが、値段は国産に比べて非常に安く、味も格段の差がある。見分け方は、国産のたこは濃い豆色に対して、輸入ものは、濃い朱色である。	煽烏賊（あおりいか）・ひれが胴全体に渡り、楕円形で「コウイカ」に似た体形だが、ヤリイカの仲間である。（「槍烏賊」（やりいか）の解説を参照）（「甲烏賊」（こういか）の解説を参照）「あおりいか」には白く透明なものと、黒くくすんだ色のものと、大型に成長しないものの３種類が存在する。また、「もいか」・「くついか」・「ばしょういか」・「みずいか」など、地方名も沢山存在し、西・南日本方面では「みずするめ」と呼ばれる干物があり、「スルメイカ」で作るするめとは違って、とても柔かな食感が特徴である。肉質は厚くて非常に柔らかく、味には甘味がある。最高級のイカとして、刺身は勿論、干物・焼き物何でも美味。高級品だが、市場への出回る数は結構多い。の最高峰。北海道南部以南から南には海外まで広く生息しており、体長は、１キロ前後の食べごろサイズから３キロ以上の大型も存在し、釣りの対象としても人気がある。とにかく刺身は絶品で、身は柔かだがしっかりとした歯ごたえがあり、味は甘く、噛めば噛むほど味が染み出してくる。
	この写真は当店主友人が先頃横須賀沖で死亡したコククジラを地元漁師より譲り受けたもので、当店にも分けて戴きました。鯨の消費は７割が関西以南であるが、房総産「くじらのたれ」は知る人ぞ知る一品で、鯨肉を干したもので、絶品である。
蛍烏賊（ほたるいか）・日本海側の生息がイメージが強く、特に富山湾特産で有名だが、鹿島灘・相模湾・駿河湾等の太平洋側にも生息する。体長は１０㎝ほどの小さなもので、腕や腹部に発光器を持ち、海中で綺麗に光る様子は有名である。関東では、福井・鳥取・兵庫などを中心に冬から晩春あたりまで非常に多く市場に出回るが、やはり富山産のものは、中でも大型で品質も良く、価格も高い。最近では冷凍ものが出回り、一年中見ることができる。茹で物・煮物が一般的だが、鮮度の良いものは、やはり刺身が非常に美味である。	鯨（くじら）・「鯨」の様々な部位を食用として多様に使用する例は日本以外に殆ど見られない。ご承知の通り、捕鯨の最盛期は昭和３０年代後半で、それ以降、捕獲量の制限増加や特定種の前面捕鯨禁止等で、昭和５０年に入ると価格は次第に上がり、今では珍重される事となった。「鯨」はひげのあるものと、ひげは無く下歯の強い歯クジラに大別され、前者は大型で肉の味の良いものが多く、鯨油も取れるが、後者は「マッコウクジラ」以外は小型で味はやや劣る。また、前者は脂ののりが良くなる１１月～３月に南氷洋捕鯨で捕獲され、母船上ですぐに解体され、部位別・等級別に区分けされ冷凍される。後者は沿岸捕鯨で捕獲され、現場消費が主体となるが生肉で流通する利点をもつ。 ●部位の説明・赤肉：背びれから頭の付け根までの背肉の部分で脂肪の無い　　　　赤身肉。・尾の身：背びれから尾の付け根までの肉で脂肪が多く柔らかい　　　　　鯨肉で最も高級な部位。・尾羽：尾羽毛（おばけ）とも呼ばれ、尾びれの部分。色は白く、　　　　匂いも味も殆ど無く、弾力があって歯ざわりが良い。・畝須（うねす）：腹側にある縞状の白い部分が「畝」で、その内　　　　　　　　　側の赤身が須の子で、両方合わせて「畝須」と　　　　　　　　　呼ぶ。茹でて燻製にしたものがベーコン。・本皮：背中の黒い表皮のすぐ下の脂肪層。鯨油で揚げて乾燥　　　　させたものが、「いり皮」。・かぶら骨：上あごの軟骨の部分・さえずり：舌・百尋（ひゃくひろ）：小腸

数の子（かずのこ）・言わずと知れた「鰊（にしん）」の子であるが、当の「鰊」が戦後数年で漁獲量が激減し、近年では「数の子」の原料はほとんどカナダ及びアメリカからの輸入物となっている。この名の由来は、アイヌの言葉で「鰊」を「かど」と言うそうで、その子供と言うことで「かどの子」から「数の子」になったそうである。「数の子」は「鰊」が水揚げされて２、３日後に固まり、取り出す事ができ、また独特のアクがあり、食べる際に、苦みとなって感じられる。食用となった時期は、古くは江戸時代まで遡るが、その当時は天日干しをした「干し数の子」として売られていたそうで、現在の塩数の子が流通するようになったのは、明治３０年頃からのようである。お正月料理には欠かせないものとなったのも江戸時代中期あたりだそうで、「鰊」が「数の子」を産むように、多くの子供が授かりますようにとの縁起を担いだもので、当時は価格も安く、貧富を問わず広く食された。	水雲（もずく）・太さ１㎜未満、長さ４０㎝にもなる黄緑色の海藻で、糸のように細い枝が幾つにも枝分かれしており、粘質に富んでいる。また、非常に柔らかく糸状の部分は円柱状で、老成すると中空となる。本種の仲間には「いしもずく」、「おきなわもずく」などがある。「もずく」は北海道西南部から九州に至る太平洋・日本海沿岸、「いしもずく」は北海道周辺から太平洋沿岸北部・中部、瀬戸内海、九州、日本海沿岸と朝鮮半島まで、「おきなわもずく」は、九州南部から沖縄にかけての暖海に分布する。内湾の静かな所に育つ「ほんだわら」類などに着生し、北海道では主として「つるも」、本州中部では「まめたわら」に着生する。上記種は区別されず「もずく」として市場に出回るが、産地では生ものも食べられている。一般的には塩蔵、または酢漬けにされて出荷され、「もずく酢」・「養老もずく」・「もずく雑炊」などが有名な料理である。旬は２～３月で、なかでも若生のものが良質とされている。（「芽蕪」（めかぶ）の解説を参照）

甲烏賊（こういか）・春に生まれた「コウイカ」は秋口になると甲の大きさが１０cm ほどに成長し、秋の寿司種の名物「新いか」と呼ばれる。甘くて柔らかな身は絶品だが、最近市場では入荷が少なくなり、高級食材として有名である。関東では「墨烏賊」と呼ぶのが一般的で、東京湾での釣りも盛んで、テンヤでの「シャコ」餌の仕掛けで釣るスタイルが有名である。関東以西の内湾に広く分布しており、地方では「真烏賊」（マイカ）とも呼ばれる。関東の市場ではその名の通り、墨にまみれて入荷するが、関西では墨を綺麗に洗って並んでいる。江戸前名物の天ぷらや揚げものとしても有名だが、やはり刺身で頂く「コウイカ」は絶品である。（「煽烏賊」（あおりいか）の解説を参照）	筋子（すじこ）・「筋子」とは、サケ科の魚の卵巣の総称で、特定種の為の呼称ではない。一般的には鮭の卵を「イクラ」呼ぶ事は非常に有名だが、元来「イクラ」とは魚の卵を意味するロシア語である事はあまり知られていない。筋の様な卵巣膜によって卵が繋がっており、この卵巣膜を取ってバラしたものが「イクラ」または「バラ子」と呼ばれている。火を通すことは滅多に無く、市場に流通しているそのほとんどは「イクラ」として加工するか、塩蔵加工した物。通常、「筋子」と言う表記の場合、塩蔵品を示す事がほとんどで、その他に醤油漬けや粕漬けなどもある。特に未加工の筋子の事を生筋子と呼んで区別をつけている。

芽蕪（めかぶ）・若布の根元部分の肉厚のヒダヒダの部分を「めかぶ」と呼ぶ。若布は、昆布科の海藻で、日本近海にのみ生息し、朝鮮半島、暖流の影響のある北海道の西岸から九州まで広く分布している。古くから食用とされており、海岸に生育するものを採取するだけでなく、最近では養殖が普及し天然物よりも多く出回り、また加工や保存技術の発達によって一年中市場に出回るようになっている。「芽株」や「雌株」と書く事もある通り、簡単に言えば、若布の生殖器官である。葉や茎に比べて栄養分が凝縮されており、食物繊維やミネラル分も、２０％以上も多く含まれている。主な産地は三陸地方の葉の長い「南部若布」と、潮流の激しい徳島県鳴門地方の「鳴戸若布」や山陰地方の葉の幅が広い「出雲若布」などが有名。最近評判のヌルネバ食材だが、めかぶのヌメリ主成分は、アルギン酸やフコイダンといった水溶性の食物繊維で、「もずく」のヌメリ成分と同じ。（「水雲」（もずく）の解説を参照）	剣先烏賊（けんさきいか）・本州中部以南の近海に広く生息しており、冬の「ヤリイカ」と夏の「スルメイカ」の丁度中間の季節に多く市場にも入荷するが、市場での価値は高く、値段は高い。イカの仲間は、様々に変色する為、山陰地方では「白イカ」、房総半島あたりでは、「赤イカ」などと呼ばれ、他種と混同する事も多いようである。また、同じ「イカ」の仲間の「ヤリイカ」、「ブドウイカ」、「ジンドウイカ」などとは、小型の時には非常に見分けがつけずらい。現在は、釣りで有名な「マルイカ」は通称「ダルマイカ」と呼ばれ、これは、「ケンサキイカ」の幼形とされているが、未だイカの仲間の種別等については、未知の部分が多い。この幼形の頃の「ケンサキイカ」は、歯ごたえ、歯切れ共に良く、特に甘味が高く、「ヤリイカ」にもひけをとらない。（「槍烏賊」（やりいか）の解説を参照）さっぱりとした味わいの「アオリイカ」とは対照的に強い甘味を含んだ濃厚な味である。（「煽烏賊」（あおりいか）の解説を参照）格別な甘みを味わうなら、やはり刺身かイカそうめんが一番だが、干し物や煮付け、軽く炒めても美味である。